永遠のサナギ/浅井実花
 
もう何も見つめない
もう何も感じない
心を繭で包むように
サナギになった

サナギは
飛べやしない

だのに飛び立った君は
羽化もしていない羽で
無様に地面に叩きつけられ
死んだ

嗚呼、誰か気づいて
嗚呼、誰か愛して
サナギを

嗚呼、誰か引き留めて
嗚呼、誰か抱き締めて
サナギを

鼓動だけが耳にこびりつき
生き様だけが目に焼き付き

希望も絶望も全て抱えて
死んだ

サナギよ
さよならも言わず
飛べると信じていたの

青い青い日々に
失くしたのはサナギ
羽化することもない
永遠のサナギだった
戻る   Point(1)