身体の海【4/6】輪郭、輪郭、輪郭、/A道化
 
 ただ、私がいた。
 ただ、痛い心があった。ただ、体があった。それしかなかった。
 そして、何故かしら、どうしても、体に、痛みが必要だった。



 4番目から6番目のピアスは、前職、私の唯一の会社勤め時代に、会社が合わなくて苦しくて1週間くらいの間に空けた。
 7番目と8番目、軟骨のピアスは、とある人への恋を失う予感の為に眠れなかった夜と、数段階に分かれていた失恋の最終段階に。
 9番目は、Tと(3度目の)お別れをすることになった前夜に。



 指に力を込めて、一気に、ピアッサーを強く最後まで握り締めるようにして、ガチャン。そしてそれを耳から離したら
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