「月の砂と背凭れ」/Leaf
遮光カアテンの隙間より洩れ注ぐ流線形のオレンヂ光
それは例えるなれば、廃村の呻き声が凝結した色に変幻したという
静寂な深夜の長距離バス内に灯る望郷/涙すら閉じた瞼をも透かして乾かす
泣いている間も無く
背凭れが強制的に持ち上がる視線の先の風
何の気なしに触れるように察する
対価のない風薫る背凭れが翻っては嗤う真空を揺するんだ
代償を予感さす其れが何かはルナーフェイズに訊いてくれ
敢えなくさらさら零れ落ちたら小さなその手で掬ってくれ
ガーベラの花弁一片ずつ千切り謳う宵につれ軋む背凭れは
先月の臥待月より遥か漂う薄灯かりが
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