水に添う 一/一ノ瀬 要
 
 
 
ページめくり林檎頬張るは二重奏


兄 娘抱き 娘 笑う


煮た馬鈴薯やわらかくなり


短冊に筆持ち小一時間笹も頭を垂れ


貌から顔の角無き玩具溢るる


うら側のまっ白なチラシ





花を撮る姿の花


生き甲斐と共に湯船が笑い


水に浸す老いは老いとして


まっすぐな道歩めば じきまっすぐになる


畝と畝の間が骨の望みよ


葬式饅頭うまいと桃色の子ならぶ萩の間に





飯食って糞尿 修羅の仕業と


昔ばかり思い出す足


埃をじっと見やる


薬飲む時は静か


まざまざと生かされ夜の錆色


後悔もままならぬ骨よ骨




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