サテライト/瀬崎 虎彦
 
飛び交って
そこにいないのならば
僕が悪者になって
船底で日記を
抱えているくらいしか
出来ないんだけど

地下室から 飛行機が
何も映し出さない 空へ
悲しいことを受け止める 
割に合わぬスクリーンへ
日が落ちるとそれでも星座が 夜の天球に
きっと何千年前から貼り付けられている
そして僕はいつも同じ場所で
同じ光に照らし出されてる
気づくこともなく放つ光は
その影を背負うべき羽がある

地下鉄なんだけれど
一瞬だけ 一瞬だけね
外の世界に出て
光が車内に舞い込んで来る
川沿いで 一瞬だけね
僕はこの景色を何度となく
見たことがあるけれど
やっぱり驚くよ いつも

いつか死んでしまう かならず
その前の 出来るだけ ずっと 長く

青い薔薇の入った大きな大きな花束
プランタンの 別館の 一階の 花屋
僕たちの最後の食事
疎遠になる 離脱して脱臼されていく 宇宙
もう二度とすれ違えない 惑星の軌道
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