サテライト/瀬崎 虎彦
 
冴え冴えと月 秒針よりも鋭く
心まっすぐに 君へと向かう

新しいコート 最初にね
見せたかったんだけど
袖を詰めに君は
風の中に僕を置いていくよ
風が強い 誰もいない
いや 誰かがいるけれど
誰もいないのと同じなんだよ

言葉をね 心をね この思いをね
全部ショコラと嘘で溶かすよ

記憶の中で 春ですか 夏ですか
記憶は君の声で語られる みたい

僕が悲しくても
何が悲しいのなんて
聞くことが出来なかったと
それはすごく僕を
温める気がした

曖昧な表情 秋ですか 冬ですか
いいから もういいから 会いたい

いなくなってしまえば
悪口が飛び
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