ANGEL SONG/ゆりあ
夜中に体に違和感と吐き気を感じ
洗面台へ向かいました
けれども
嗚咽とは裏腹に
吐くものがないのです
あれ、今日何か食べたっけ
鏡を見ると
栗色の髪と白い顔の私が立っています
暑さのあまり着ていたシャツを脱ぐと私の上半身が映し出されます
私はその生気の感じられない体に喜びを覚えました
私の体は控えめな生を帯びて
白く澄んでいました
私は自分にしばらくうっとりしてしまいました
こんなに自分が美しいとは思わなかった
そしてよく見ると
背中の中央から薄く白い羽が生えていたのです
それは私の背中から少しだけはみ出る程度の小さな翼でした
私は瞳から涙が溢れて止まりませんでした
それはもちろん喜びからきた涙です
私の背中から翼が生えた
私は神に感謝しました
"今日の午前9時頃、〇〇川付近の土手で女性の死体が発見されました。17〜20と見られる若い女性で、どうやら橋から飛び降り自殺をした模様です。現在身元確認を急いでいます。"
「彼女に翼なんか生えてなかった。そもそも彼女は最初から死ぬつもりだった。都合良く天使になって飛んだんだ。」
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