八月に微笑/
瀬崎 虎彦
青黒いかなしみは
ようよう光の中で
薄かわをはぐ様に
透明度を増しており
痛む足を庇いながら
長い螺旋階段を登る
週末にはなめらかな
音楽が不在らしい
緊密に並べられた
物事の物音の合間
記憶する前のことを
昨日のことのように
懐かしく掌に広げて
慈しむ私の祖母よ
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