/寅午
あなたは耳をすませ瞑想した
大地の広がりに、空の深さに
感覚をとぎすまし、世界とひとつになって
あなたは知っていた。ランプの灯心のように
みずからの身体を燃やし、世界を照らす術を
あなたは悟りをひらき、愛を説いて
あなたは人としてその一生を生きただけなのに
あなたの言葉は語りつがれ
時を越えて世界をあまねく照らしている
ざわざわとした夜明けの空をみつめるとき
はげしい雨に降られ、通りがかりの家の軒下に雨をやり過ごすとき
ざわめく光のなかに
大地をたたく雨音に
わたしはあなたの声をきいた
戻る 編 削 Point(0)