『光蘚〜ヒカリゴケ』/Leaf
骨身惜しまず、働いたあの頃を振り返る日々
―――そんな気色ばむ日常に嘯く日々はもう老いた
連れ添いふたつの撓み軋む感情を
――――諌めるように
律動を産み落とす篝火を手に
――――掲げるように
その炎心に宥められ慰められながら
赴くままに往き進んだ先の葡萄窟峡の入り口
―――背に陽の光受け
碧雲の洞窟に潜む
隠匿の光彩が道標となり―――
迷謬(めいびゅう)する事勿れと
偏に導かれ
葉脈の囁きに耳を傾ける―――
寒かろな
寒かろね
―――しんしん、しんしん、の伝承
錆びゆく獰猛と
しめやかなる湿の沈着
深々と歩むこの背この足
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