夏の音/
瀬崎 虎彦
いい加減な気持ちで
好きだとか好きじゃないとか
そう口にするのなら
熱されて爆ぜる
種子のように気持ちが
重く澱む リノリウムに
真夜中 澱む バリウム
一回りして夏 そして
一回りして朝 それは
悲しいくらい自然 な
不自由さを糧に
はばたく ただ君に
気がついてほしいから
名前をあげよう
間違えることのない
誰にも呼ばれることのない
名前を 揚げよう
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