僕には手立てがなかった/kauzak
 
僕には手立てがなかった
君を忘れようとするしか
空しさをほどく術はなくて

叩き着けるように
書き殴られた手紙が届く
乱雑な折り目を開いて目を通す

君が去ったことを思い知る
追いかけることなどできるはずもなく
春待ちの畦道で溜め息を吐く

 閑な陽射しに欠伸をする
 開花した桜に口付ける
 その苦みを甘受する

正しいことと錯覚しながら
貴方を求めている

貴方からも求めてもらいたくて
何度でも呼びかける
世界を捉え直すために


 ※「連なるだけの言葉」シリーズ
戻る   Point(5)