逡巡/ことこ
 
わたしの奥底で
ふるえている
くもの巣は
いつか雨宿りした
あのときのまま
  *
まぶたを閉じる
いすの下で
くれよんの匂いが
満ちてあたたか
たまに
回転したりしてみると
お母さまは喜んでくださる
  *
食パンの耳を
やまのようにかき集めて
うみの水にひたす
ぶよぶよにふくらんだ分だけ
呑み込みやすく
なる気がして
  *
雨につつまれた午後には
8の字について考える
えいえんの形はこんなにも単純で
どうせなら
擦りきれてしまえばいいのに、と
なんども指でなぞる
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