空に還ったものに捧ぐ/あ。
 
わたしが生まれるよりうんと昔に
他界してしまった母方の祖父は
実直で陽気なひとだったと言う


わたしが高校の制服に袖を通して間もなく
他界してしまった母方の祖母は
大変に気の強いひとだったと言う


比較的戦火を免れた京都の街の片隅で
ひっそりと小さな料理店を営み
母を含めた子ども六人を育てた祖父母は
大の動物好きで、ひときわ犬には目がなく
その影響か家族みんなで動物好きであったが
飲食店を経営しているために飼う事は出来ず



そんなことを無視して迷い犬を店に連れて行ったのが
同じく犬に目がなく、しかし自分の家では飼えない
当時母の恋人であり後にわたし
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