土曜、午後/ゆでたまご
 
大きく思わず足を止めた。
風は数秒間そこにいた後、まるで私をあざ笑うかのようにゆっくりと去っていった。
主は何事もなかったかのようにどっしりと構え直し、蝉たちは再び鳴きだした。
取り残された私はぺたぺたとアパートに帰り、窓を開けた。


夕方になり、窓から薄オレンジ色の光が差し込んでくる。
昼間見た風は今頃どこを吹いているのか…

また煙草に火をつけた時、やわらかな風が部屋へと舞い込んできた。


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