星々の悲しみ/かいぶつ
走り
それに追いつこうと必死だった
けれど虫の声音が変わると同時に
名前も性別すらも知らないまま
突然どこかへ消えてしまった
僕は多分、親友と呼べるものに
あの日以来出会ったことはない
木曜日の子どもはどこへ行ったのか
週の真ん中 ながいながい一日
金色の稲穂がユレル
風は生き物だ
金曜日の子どもに
これ以上、何も与えないで
夜空に銃口向けて
吹き飛ばした土星
危ないと運転席から叱られて
悪びれないのは土曜日の子ども
お子さまランチのおまけで貰った
おもちゃの拳銃はメキシコ製
秘密基地には秘密なんてなくて
ぽっかり空いた
小さな日だまりの席で
モンシロチョウが踊っている
日曜日の子どもたちも
今ではもうすっかり大人になって
誰もがひとつ悲しみを抱えている
星をめぐり 人をめぐり
秘密を分け合える誰かを
探す旅に出掛けている
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