星々の悲しみ/かいぶつ
仄暗い湖、青銅色の水底から
水面に浮かんだ
満月をつかもうと
水草のようにやわらかく
つるりとした腕を伸ばしている
月曜日の子どもたち
ランプの火影に怯える
動物園のオオカミが
故郷の詩を歌うとき
火曜日の子どもは泣き喚き
図鑑に載らない動物の吠え方で
母親の愛情を一心に求めている
水曜日の子どもは現像されない
光あふれているために
白くとんでしまう
おぼえたての仕草は
真っ暗なフィルムケースの中で
いつまでも初々しい
どこから来て どこで出会ったのか
夏の始まりと夏の終わりを
つなげることに夢中になっていた二人
あの子はいつも僕の目の前を走り
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)