夏をかう/ことこ
 
通りゃんせ、
通りゃんせ、と
いくつもの輪くぐりが待ち構える
手前の
軒先で降りしきる雨粒に濡れてから
久しい
地上を
すべらかに滑る
つめたい乗り物も
ときおり
思い出したかのように降る
なまぬるい夕立も
すこしずつ
削ぎ落とされてゆく
ものだから
    ((ぱたぱたと
     ((ひらいては閉じる花火を
      ((追って、
          どこまでも、ねむりの底へともぐってゆけば、肩口にひろがるうみの、うちがわからあふれてやまないこどうに、いまでも、たどりつける気がするから、夜光性のくらげにつれられて、乱反射しながら、みをす
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