「 まあるい石 」/椎名
ゆるやかな川の流れの
水底の見える
たまりのなかで
ゆらゆらと
ゆれるように
静かに佇んでいる石
水面がゆらめいて
水底の石が煌いている
水流に磨き上げられ
角のとれたまあるい石
はじめは
ごつごつとした岩だったのだろう
こんなふうに
まあるくなるには
さぞ
長い年月がかかったにちがいない
人のこころも
流されたり
水流にもまれたりして
いつかは角が取れて
まあるく
まあるくなるのだろう
じっと
耐えてこその
まるさ
生きることに
耐えてこその
まあるいこころを持ちたい
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