日食に月を見よう/小池房枝
受け止める
立って/座って/寝転んで歩きながら空を見上げながら
地球の上の自分と
月と
太陽との
一直線を思い浮かべてみるといい
太陽の欠けた部分
大きな魚や
魔神にかじられるのだというその部分を指差して
ほら
あそこに月があると
自分がきちんと
例えばサロス周期や
昇交点や降交点の文字通り綾なす宇宙の中にいることを
考えきれなくても感じてみるといい
日食に巡り合せるというのは
つまりそういうことだ
天体望遠鏡や電子顕微鏡やテレビ
インターネットや you tube
見えないものを見る機械はたくさんある
だけど見えないものを見る機会は少ない
だから日食を見よう
もし雲に阻まれて雨に降られても
それこそ想像してみるといい
地球と自分と雲と月と太陽が仲良く並んでみているところを
戻る 編 削 Point(3)