芋剥き/ふたば
ぼくの乗ってる大きな船
生まれたときには乗っていた船
どんな名前のどこの海を
進んでいるのかぼくは知らない
ぼくは芋を剥いている
船底の小部屋で腰を掛けて
芋を剥くのがぼくの仕事
ぼくの乗ってる大きな船
たくさんのひとの働いている船
料理長フィリップさんの代わりはないが
金勘定にもコツがあって
重たいモップを握るのも力がいったが
芋を剥くのはぼくにも出来た
だからそいつがぼくの仕事
甲板にはしばらくでていない
たまに陽を浴びに行かされても
昼間は眩しくてひりひり痛い
眠るほかには船底で
ぼくは芋を剥き続けていく
泥をたわしで落としていく、丁寧
皮をナ
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