まどろみと日常/百瀬朝子
 
穏やかな波がわたしを襲う
安心してゆだねきっていた
わたしの過失
死んでしまった貝殻に
疑いを隠していた

    ここは、なまぬるい
    それは、
    時にあたたかいことと等しくなる

遡りたい
肌の色が透けていく
儚く脆い少女になる
少女は波を見る
一瞬の飛沫に馳せる思いは
どこにも届かず
荒れ狂う波にのみこまれる
いや、身も心もそのすべてを
のみこまれたいと欲している
少女はただ
忘却するのを待っていた

    ここでは、地面が波打っている
    それは、
    信じていたものの崩壊を意味
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