青の発声【純色青色Escape-?】/北街かな
 
生とは言え
生きていたとは言えぬ死体がそこらじゅうで腐りはじめる

しかし彼らの高級な鍵には息を飲むしかない
時刻と日付のロックを外して万象の身元証明をやり遂げる
恐ろしい時代が到来したものだ

高速で飛んでくるナイフとペンとキャンディとアゲハ蝶をすばやく避けながら
私は今を理解しようとしたのだ
手足は深刻な痛みを伴う
感覚は総じて凍結している
私はやはり何もわからぬ
安らかな日向が恋しいばかりだ

手を掲げ、透かして確認しろ
光の意味を読み上げてみせるんだ
対応した歌があるなら
そこで歌えばなお良かった!

人はみな、私の杞憂を流行の憂鬱病と診断して隔離した
見事に全身をうちほろぼされながらも
私には声も手段も残った
ラフにクールに台無しに、エッジを澄ませて
青色吐息をナイフとペンと蝶に変える
さあ、すばやく避けて見せたまえよ!

回避しないでくれ などと
言葉を、聞いてくれ、などと
私に言えるのか?
蝶が光の速さを超えても
痛み知らずここまで会いに来ておくれ だ などと
歌えたならばきっと良かった!
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