「 新宿の夜 」/椎名
 

夜の明かりに憧れたわけじゃない

その冷たい横顔に

抱かれたかっただけ



この身を投げ出して

涙を出さずに泣く



そんなことも可能な街

誰も見てやしないから



明るさに目を奪われて

本当の姿なんて見えやしない

見ようともしない



笑い転げて

おしまい



それでいいんだよね

都会の夜なんてさ



みんなひとりぼっち

笑顔の下に

さまざまな心を隠して

馬鹿騒ぎ



帰りたくない

帰れない



この街に

朝なんかこない

この街に

明日なんてない



今が全て

今宵ひとときの夢を



闇の中で

何かがほくそえんでいるのも

知らないで




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