esprit/zihan
 
唇のふるえは
真冬の泉を汲んだ
傷を忘れたままの
夜を仰いだ祈り

贋の冠が
鎮魂の書を盗み
うたが星々を
歪めてしまうとき

その体はシリウスに攫われ
胸に突き刺さるホロスの槍が閃光を放ち
蝶の髪飾りがるると萌えて羽ばたくとき

盲いた凍蝶は
音の経たない銀の竪琴に弾かれ
大ガラスは砕け散り闇夜に没した
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