微笑む理由(dark horse)/こしごえ
 
なき立を 変換する絶対音感
いみじくも
雪原をただ一頭疾風迅雷となってゆくたてがみ

約束のないすべてから発生した闇に
ぽつり、濡れた光点が忍び音をひそめている
宿無しの蔓
黙殺された光合成
グリズリーの失笑 いさめる九人在るミューズの母
舞台裏の道化師
銀糸の照明があたる密林
春を待ち尽す青年の

翳りある、指先がふれようと
空を切る、純白の肌へ。
おもひ出の下弦に
(限りある朝を
 今日も初めてむかえる
 在りしながら おもひありく)
この死はいちどきりしかして

ふりそそぐ高い空 をえる
流水の果てに(つむり手をあわせる私)。
宝石箱の中原から
こんにちは、とブラックオニキスの原石が、ひんやりと零す黒光り
あのひとみは、金環食の門
をつつっとくぐりぬける海馬の群星




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