微笑む理由(dark horse)/こしごえ
 
ふりしきる、ふりしきるうるわしき影
原始の暗黒をつらぬいて
虚空の黒雨の冷たさは
墓守漂う雲のおとす
あふれる今朝を、幽かに青く息も吐く
並木道に風光りやがて歩む
無辺の肺臓澄みわたり
自動車よ私を通りすぎる?
いつも
意識不明のおもひ出に照らされている

ある正午、公園のブランコに老人がひとり
それはそれは静かなまなざしであった
この日は、本当にひと気はなく
真白の白髪日向ぼこをしていた。
鳩が五羽ほどうろついていたが、
縁もゆかりもない憧憬。
公転すべき水の惑星よ

銀河瞬く
暗黙で
星星の、回帰するメリーゴーラウンド
放て遊星を
黒い馬のいななき
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