バスルーム/mad.rabby
 
君と手を繋いで、公園を散歩しました。
はしゃぐ子供を見て、心にもない言葉を並べました。
君はニッコリと笑いました。
優しくキスをしてくれました。

ここまで全部夢でした。
次はいつ会えるの?

深夜2時に目覚めました。
薄い壁から隣人の喘ぎ声が聞こえてきます。
隣人の淫らな姿を妄想して僕は僕を慰めました。

ここまで全部嘘でした。

本当は一人、泣いてます。
ごめんなさい、君に似合うドレスを今僕は着ている。
部屋の片隅で腐乱した綺麗な蜻蛉。
羽を一枚ずつ引きちぎる。

こんな世界、消えちまえ。
そう思う前に僕は消えたい。

本当は知っている。
それは知っていると言っていいほど確かなことではないかもしれないけど。

素晴らしい。
生きるのは素晴らしい。

だから今は、あらゆる自殺を試すだけ。

逆上した世界を踏んづけて、悲鳴を鳴げる赤ん坊に囁いて、汚い空気を吸わせて、無菌室の恐ろしさを太陽が昇るまで教えてやろう。

誰かの哲学でその脳みそをぐしゃぐしゃにしてやる。

死ぬまで苦悩しやがれ素晴らしき人間共!
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