爆裂ねずみ花火/木屋 亞万
 
火が回るひまわりみたいな花火の中で
芽吹いているひとつのちいさな双葉
焼けてはじけて回転している火の中で
佇んでいた名もなき息吹は
戸惑った顔で夜空に助けを求めていた

滑り台を滑り降りるいくつものロケット花火は
シーソーの土台に当たって弾け飛んだ
体内に仕込んだ笛を鳴らす前に
甲高く夜空にSOSを叫ぶ前に
カンという金属音とともに弾けて消えた

花火用のでかい線香を
墓参りに持っていったら怒られたので
砂場に小さな山を作って
砂のウェディングケーキに仕立て上げ
そこにいくつもさしたのだ
暗闇に赤く燃える線香

本当は髪の毛に火をつけて
脳ミソの中のあらゆる
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