蒼い刃/
高杉芹香
どっちを向いて眠っても
涙がこぼれて来る。
やっと眠りについたと思ったのに
自分の泣き声で目が覚めた。
時間を戻せたら。
出会わなかったことに出来ただろうか。
時間を戻せたら。
愛さずに済んだだろうか。
今。
出来るのは
ただひとつで。
自分にも
誰にも
危害を加えないこと。
刃物を持たないこと。
蒼く光るうちのよく切れる刃物たちが
あたしの名を呼ぶ。
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