光跡をたどる/信天翁
 
          おれは一番好きだ
           七夕月の落日が。
      日中こき使った交感神経に
 安堵のシグナルがともされる気がして。
  あれほど隻影に対して威張っていた
         湿っぽい風は退散し
  あれほど緑蔭に対して謳歌していた
   公園の立木がオブジェとなるころ
七夕月のたそがれが囁きかけてくるのだ。
           奢り狂っていた
        おれのなかの血の声が。
      「おまえの四次元に対して
       ありがとうを言うんだぞ」
                 と
        囁きかけてくれるのだ。


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