月/遊僕民
 
昨日見上げた満月が

今日は少しだけ欠けている

影は闇に溶け

そこはあたかも「無」が在るよう

日々欠けゆく月に情を抱き

辛くなるばかりの心を沈める


明日はいよいよ新月の夜

想いは沈む 底なし沼

だけど僕は忘れていた

明後日の夜 月は再び

微かな光をその身に帯びる

新月の日 月は生まれ変わる


翌々日の夜 僕は気づく

「月が始まる」

悲しみに酔うため眺めた月が

いつの間にか僕を励ます月に

沈めた想いは甦り

新しい僕が 目を覚ます

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