土星さんの帽子/角田寿星
 

夏至祭の夜はちょっと冗談じゃすまされない
めくるめくまばゆい星空で
あちらこちらで星タバコの煙がたなびいて
あたしは楕円形の星座早見表を片手に
例年どおり田んぼのあぜ道で
偶然を装って土星さんを待伏せします

やっとあらわれた土星さんは
自慢の帽子を目深にかぶって
ふわふわ浮いてて
でも足は田んぼの泥だらけで
たくましい二の腕が陽に焼けてて
土星さんは星をみるのがとっても好きで
こんなに明るい白夜だと星がみえないね と
さわやかに笑います

あれほど星がまたたいてたのに
土星さんのいったとおり太陽が沈まなくて
きいろい闇は一瞬でしろく早がわり
面喰らったあ
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