隠喩の肉体/
瀬崎 虎彦
鉄の繊維に水滴る
明け方に激しく呻き
瑣末な棘と澱を具して
しのび足で階段を登る
声はどこからやってくるのだろう
有意義さは何にやどるのだろう
街が簡素な光に満たされて
ベランダから飛び降りる夢を見る
この肉体とつきあっていかねばならぬ
逃れることはできないのだから
組み合わせられた機械を駆使せねばならぬ
縒り合わせられたメタフォアの糸を
時間の中で解していかねばならぬ
残り時間を気にすることはせずに
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