梅雨前線/ジャイコ
 
ガラスの向こう側には
透けた理想があって
それはいつまでも
あたしに届かないものだった

封を切った手紙は
ホームの側で泣いていた
小さな意思には無関係で

宵闇が鼓動を押して
満員電車の吊革にぶら下がったままの心臓を
隣の彼女へと見せつけるから

触れた柔らかな体温は
私のそれとは違って
とても優しく胸に落ちた


もうどうしようもなく
君に触れたい
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