Right as rain -夢の数ほどあめが降る-/shu
 
ひさしぶりにバスに乗ってどこかに行こうかと
バス停のベンチに座ってぼんやり空を眺めていたら
ゴロゴロ雷が鳴りだしてどんより重たそうな雲が湧いてきた

ぽつぽつと額にあめがあたりはじめる
「お兄さんにもカサを貸してあげなさい」
突然、バスを待っていたお母さんが
赤いカッパを着た幼稚園児の娘に言う

隣にちょこんと座って
「はい」と差し出された小さなカサに
とまどいながら断るのも悪い気がして
背中を丸めて一緒にカサのなかに入る
あどけない瞳でのぞきこむように僕を見て言う

-あめはねー、雲の上でバクが喜んで駆け回るから降るんだよ

-へぇー

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