家電物語/たもつ
01
冷蔵庫売り場で火遊びをしている少年のシャツは裏返っていて、肌がまぶしい。
02
扇風機の真似をする君が、今日は朝から羽が壊れて、うまく首が振れない。
03
アイロンの代わりにコンニャクをかけると、誰かが出口で待っていてくれる気がする。
04
生まれてからひたすら乾電池を食べ続けた男が最後の一本を食べ終えると、判定員は悲しそうに「参考記録」の旗を振った。
05
テレビの中から自分の名前を呼ばれている気がして振り返るけれど、まだ家に帰る上り坂の途中だった。
06
冷蔵庫の中から出てきた子供たちが行儀良く列をつくり、中庭でチューリップになって咲
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)