[時計のない部屋]/東雲 李葉
 
時のない部屋で待ってる。
ここに朝は来ないけれど、
新しく始まるものなんてもうあたしにはいらないから。
今はただ老いも知らない少女の気持ちで。
赤く胸をときめかせた初めての気持ちを抱いて。


時計のない部屋で待ってる。
白みかける外に気付いたら、
一夜限りの夢物語は静かに終わる。
明日もまた一つ老いてもそれでもまだ、
初恋の傷を抱えたまま胸を疼かす少女のように。

時計のない部屋で待ってる。
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