雨の構造/中山うる
 
その前に決められていた雨上がり言葉をひとつ少女は知った

ひそやかに水は逆流していると富を嫌った国語教師は

ペンギンと乗れば寂しい 24時25分に出る終電車

いましがた呼び合いました。博愛のにおいが残る空き部屋でした。

世界から数えはじめて雨粒を数え終わってしまった夜だ

明日を明日と呼べる最後の今日だから緑の傘を買いに行きます

テルールの真昼を歩くこの道を永久の青さの鉱脈として

魚にはなれない 僕もガラス器に胡桃を入れるバーテンダーも

流氷のしろい落書き窓際の机に雨が降り止まなくて

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