なき虫/
ジャイコ
甘ったるい猫の声が
夜中の頭脳に響き渡る
肩を抱く君の
冷たい視線に畏縮した
柔らかな雨の午後
本当は何にも
解ってなんていなかったくせに
まるで味方のような振りをして
押し掛けてきた米屋の
濡れた肌色の看板は
土の奥深くに溺れてしまって
もう手も届かない
蛙は深夜に反射して
増幅をくりかえしている
まだまだきみの中指には
辿り着けそうにないのだね
こんにちは過去の未来
君にあげられるのは
私のお腹から生まれた
水色の言葉だけ
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