三途/
一ノ瀬 要
小学生くらいの子らが
稲の先に休むトンボをつかまえて
羽を毟り取り
わあわあと
隣の子は
首根っこをつまんで
勢い良く捻り
けたけたと
楽しげに
笑っている
びいびいと鳴いていた体は
ぴたりと止み
畦に隠れた顔を探す
脚は伸び
蝉を真似て
自分を抱きながら
眠ることもなく
唐突に
放り投げられる
稲がざわつく
子らは鮮やかな擦過音の間を掻き分け歩く
茜色の上空に
無数のトンボが飛んで
子らの方向に進む
行く先は同じだという
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