可変の風/
長押 新
わたしの
身体の中にある点が
東から昇ってゆくのである
木々が顔を隠していて
葉脈はまるで人の口のように
口角をあげている
土の中にいるでもないから
私はひらひらを追いかる
ひらひらと揺れるのは風の方で
浴びている日光やそれらが
口からはい出ようとし始める
その鼓動までもが聞こえている
自分の額を土に押し付けながら
ようやく開いた口からは
まだ生血(なまち)の匂いはしないのでした
木々の香りが流れています
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