凡/柊 恵
 

親に先立つは孝に在らじ

其れを許すは人に在らじ

死神の息子に向くなれば

吾、鬼となり子を護もらん


然り…

ぬしの命その息子に継ぐ

一度、会うことを許す

ただし

何も話してはならぬぞ


おい、女

よいか、

妻は舟に乗せるな


ぬしよ安ぜよ

我は死神…命を粗末に奪いはせぬ


水面に浮かぶ吾子の寝顔

飛び起き憔悴の色みえて

声なき声は吾を呼ぶ


吾子や

吾子…

健やかに、しあわせに…


吾は凡にて

ぬしを守護せん



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