海辺にて/瀬崎 虎彦
いそいそと絶望へと駆け出す
海辺にて(砂を蹴り、ジャイロを傾けて)
つま先立ちでピルエット(革靴のまま)
肩でそろえられた髪に光降る
白い砂の一粒一粒に(印象によれば)
思いを託すような愚かさは
もう大人になった僕達は
持ち合わせてはいないはず
一直線に水際へ(遺失物多数)
改札を抜けて振り返らずに
君は何を捨てていったのだろう
地球は66,6度傾いているせいで このように熱され
プラスチックな地平線をすっぽり覆うほど
君に何を求めていたのだろう 僕
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