永遠を見極める眼球 2009/るるりら
 
 遠い夏のあの日、死んでいった無数の眼球も
  私も  あの雲と同じ色をしている 
  私は

その一部始終を見ようとしています
 
  
  
  緑と私と蝉と大気が
  一体となってゆく
  夏とは こういうことだったのかと
  私は またも忘れていたのです
  なんという わすれんぼう
  また その一部始終を見詰めよう

  夏は他の季節よりも、死にちかい
  それこそが正しかったのです
  だからこそ私は わざと忘れたのです
    
  夏は死なのです
  怖がってもよいのだよと
  夏がそう呟くのを待っていたのでありました
  いまだ ほら 夏を怖がってよいのだよ
  
夏が呟くのを 天の啓示を待つ殉教徒のように
  待っていたのでありました

  ああ
  私は怖い
  見極めることが




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