永遠を見極める眼球 2009/るるりら
 
 
   夏は他の季節よりも、死にちかいと
  たれかがおっしゃったのは天の声のようにも想え
  または蝉の声のようにも想え
  または緑陰をくれる梢の優しさのようにも想え
  私は夏を見極めようとしています
  
  広がる夏が
  銀色に照り返すヤツデの葉から
  私の額から
  私の肢体から
  植物の葉の裏から
  命持つもののすべてから
  沸き出でて その蒸散から生まれる雲を 
  臨終の蝉が乾ききる最後の最後に吐く息を 私は
 
  すべての生き物の蒸散は
  まったりと 全く動こうともしない あの雲を形成してゆく
  瞼の汗が眼球を浸し
  遠
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