0か、○か/木屋 亞万
 

人間であることに嫌気がさしたときに
自分の中身が本当に空っぽであることに気付く

宇宙の真空に浮かぶ、船に穴が開いたならば
空っぽの宇宙船の中身は、真空に吸われていくのさ

0が汚いと言われたあの頃に、僕の鉛筆は
6も0も同じように描くことができた
先生はそれが0でも6でもないと、○をくれなかった

狂ってしまったときに、それはつまり僕の自我が器から零れ落ちたときに
蛇行する身体の重みを受けて、僕の身体の変わりに傷ついてくれる女が欲しい

そんな女いやしない、
もし、いたとしても僕の自我はそんな女が嫌いだから
自我が器にある間はそんな女近づけやしない、
やはり僕
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