罪と罰/1486 106
この世界に生まれたことが罪だというなら
躓きながら藻掻きながら生きることがきっと罰だと思うんだ
直したばかりの大切なものをふとしたはずみでまた壊して
慌てて拾い上げようとしたその破片で血を流した
自分を守るために吐いた嘘で相手も自分も傷付けて
優しくなれない心が悲しみで塗り潰されていった
無くしたものや捨てたものは綺麗に見えてしまうけれど
今ここに存在している自分こそが唯一の真実だから
この世界に生まれたことが罪だというなら
躓きながら藻掻きながら生きることがきっと罰だと思うんだ
誰かを信じてみることは簡単なことじゃないけど
身を寄せながら委ねながら歩んでいく
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