配達/
丘野 こ鳩
て、
船を折った
カーテンがその長い髪のように
こがねいろに炙られながら、揺れていた
ねえまだしばらく、だれも帰らないよ
とぼくは、きみの善意に伝えた
ベランダで船を飛ばす
透明な海に流された船に乗って
開かれる鰐の口にキスする
なんども転覆して空が雲のような泡を吹いて溺れる
(
夜がぼうぼう鳴きながら
いっぱいになって飛んでくるから
むかしばなしをしよう
家族の帰りを待って
ひとりで本を読んでいたころの
とてもきれいな、彼の話を
)
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