貴方/群青
 
けなかった

貴方がいないのは当たり前実感したのはそれが最初

近くに来た保母さんに小声で言った

お父さん、いないから描けない

苦しかった
喉の奥が痛かった
初めて父を思って泣いた


今でも覚える
自分が言ったことも
胸が痛くて声がなかなか出なかったことも


貴方がいないのは当たり前
貴方の 声も知らない
貴方の 怒鳴り声も匂いも温もりも知らない


でも貴方が好きです

貴方に似ていると言われるのが好きです


照れくさいし
受け流すように聞く
貴方と私の共通点

唇はあんまり好きじゃない
撫で肩はバックが落ちるから嫌い

でも爪は好き


好きです。大好きです。
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